店の店名について
最近店の店名も日々お客様に訴求しようとして次々と新しいパターンが出てきているとつくづく思う。
昔多かったのは〇〇〇で一番うまい・・・のパターン。
そのあとが〇〇〇で一番不味い・・・のパターン。
そのあとは〇〇〇で2番目にうまい・・・のパターン。
特にこのパターンはラーメン屋に多いように思われる。
ラーメンの好きな私はなに~「一番うまいだと。」「ずいぶん大きく出るじゃないか。」
「一度入ってみるか?」と入ってしまい、
不味いとかかれていても「なに~一番不味いだと、本当に不味いか確かめてやる。」
と入ってしまい、
二番目と書かれていると「なに~2番目だとなななか謙虚でよろしい。こういう店こそうまいんじゃないか?」
と入ってしまう。
しかし、これなどはまだいいほうで、何年か
前に札幌を訪れたときには、狸小路に「カフェDNA朝5時までやってるよ~」という看板があり、髪を後ろに縛ったマスターの似顔絵が書かれていた。
そこには「食パン食べ放題!」「ジャムも出血大サービス!」と書かれていた。
私は例により「なに~食パン食べ放題だと!」「本当なんだろうな?」「確かめてやる。」
とその日は弾き語りの出来るバーで弾き語りをする予定を変更して「カフェDNA」に行くことと相成ったのであった。
して訪れて見ると想像していたようなふざけた店では全くなく、コジャレた店内にそこそこ普通の落ち着いたサラリーマンたちが話をしながら呑んでおり、カラオケはあるもののスナックとは全く異なった雰囲気で女性客なども1.2人そしてカウンターでは例の似顔絵とおばしきマスターがなにやら作っている。
私がカウンターに座るといかにもマスターというような笑顔で「いらっしゃいませ。何にいたしますか?」と言うではないか。
私は「とりあえずビール。」
というとカウンターで一人で呑み始めた。
マスターは一人で来た私を気遣ってくれたのか「どこから来られましたか?」「このあとどちらに行かれるのですか?」などと話しかけてくれ、ひとしきり旅人とばーのマスターとしての会話を楽しんだのであった。
この会話の最中私の頭のなかはマスターの話やこのあとの予定などではなく常に考えていたのは「食パンは食べ放題なんだろうか?」
ということだけであった。
マスターが「次は何にいたしますか?」と言うので、私は「ジャックダニエル 水割りで!」と頼んだあといよいよ本題に入ることにした。
「マスター、ところで、ここに来るとき看板見て来たんだけど、本当にこの店は食パン食べ放題なのか?」
と聞くとマスターは「もちろんです。それがうちの売りなんで!」
とさも心外だと言うように私に言った。
私は「それならいいんだけど・・・」と引き下がりまた普通の会話をしてカラオケを歌い、朝になると閉店間際に厚切りのトーストを3枚ほど食べ、コーヒーを飲んで
店を後にした。
店を後にした時にふと思い出したのは私が「本当に食パン食べ放題なのか?」 と聞いた時のマスターの心外そうな顔だった。
あのときマスターは本当に疑われたことが不本意そうだった。
何で私はマスターを疑ったのだろうと自己嫌悪するところ・・・なのだが、
私は私がマスターに「本当に食パン食べ放題なのか?」聞いた時のマスターの心外そうな表情の目元が呆れたように一瞬笑ったのを見逃さなかった。
マスターの心の中を私が代弁しよう。
「またカモが罠にかかったよ!」
そのカモが私である。